中国発票の英訳
中国の発票を英訳する際に、会社名、税額、数量、金額を原本と照合できる形で残す方法を具体例で紹介します。

カバー画像はAIで生成したイメージです。写っている書類は実際の発票ではありません。
取引先から中国語の発票が届き、購入内容を確認するために同僚から英語版を求められる。翻訳自体は簡単に思えても、会社名が変わる、マイナス記号が消える、税込合計が税抜金額になると、原本とは違う内容になってしまいます。
役立つ翻訳は、重要な記載を一つずつ原本に照らし合わせられるものです。新たな発票を作ったり、不明点を隠したりするのではなく、読みやすくするために作成します。原本ファイルを保存し、作業用の翻訳であることを明示したうえで、必要に応じて発票自体も別途照合します。
本稿は中国本土の事業者が発行する書類、特に税務上の証憑である発票を扱います。短い教材例を通じて、海外の購買担当者や経理担当者が読める英訳の作り方を説明します。税務書類の代用品を作るものでも、会計担当者、プラットフォーム、行政機関による受理を保証するものでもありません。
原本と翻訳の区別
最初に、受け取った書類の種類を確認します。中国の発票、英語のコマーシャルインボイス、見積書は用途が異なります。「Invoice」と題した英語ファイルが、中国語の添付資料の翻訳とは限りません。同じ注文に関する別の書類で、発行者、通貨、対象範囲が違う場合もあります。
中国の発票管理に関する実施細則は、中国語での発行を定めています。発票管理弁法では、実際の必要がある場合に中国語と外国語を併記して印刷することも認めています。ただし、いずれの規定も、買い手が作った翻訳を仕入先の新規発行書類に変えるものではありません。
添付ファイルは受領時のまま、全体を保存してください。スクリーンショットで売り手情報、合計、備考が切れている場合は、ダウンロード可能な元の電子ファイルを依頼します。注釈と訳文は別ファイルにします。発行者の文章と加筆部分が区別できない編集済みPDFより、対訳の作業メモのほうが比較しやすくなります。
コピーには「[原本ファイル名]の英語作業訳」など、明確な名称を付けます。原本の番号と日付も記録します。仕入先が英語版を提供した場合は、翻訳なのか別のコマーシャルインボイスなのかを確認してから、合計金額の一致を判断してください。
会社を特定できる表記
英訳の隣に、中国語の登記上の名称を残します。なじみのある店舗名は連絡には便利ですが、販売者欄の会社名と置き換えてはいけません。買い手の名称は買い手の欄に残します。担当者がよく知っている会社だからといって、売り手側に移すことはできません。
教材用の销售方:示例甲公司(虚构)という記載は、「Seller: Example Company A (fictional)」と説明できます。比較用に中国語も残します。実際の会社名を自分で英訳した場合は、確認済みの英語商号として示さず、翻訳した名称だと明記します。
納税者識別番号と発票番号は、そのまま正確に転記します。翻訳する語句ではなく識別子だからです。英字、先頭のゼロ、どちらの当事者に属する番号かを保ってください。表計算ソフトでは長い番号が省略されたり指数表記になったりするため、文字列として保存し、出力結果を原本と比較します。
売り手の登記情報を確認する場合は、中国語名称または企業コードを企業検索に入力します。発票番号を企業コードとして検索しないでください。登記情報は会社の特定には役立ちますが、翻訳の全項目が正しいことまでは証明しません。
英訳の具体例
架空の金属クリップ購入を例にします。以下の教材には、使用可能な発票番号、印章、実在する企業情報はありません。品名、単位、数量、単価、合計の関係を短い英訳で維持する方法を示します。

| 中国語の原文 | 英語の作業訳 | 維持する意味 |
|---|---|---|
| 金属夹;规格:每盒20个 | Metal clips; 20 clips per box | 箱あたりの内容量は商品と対応させます。 |
| 单位:盒;数量:10 | Unit: box; quantity: 10 | 記載数量はクリップの個数ではなく箱数です。 |
| 单价:40;金额:400 | Unit price: CNY 40; amount excluding tax: CNY 400 | この例の単価は1箱あたりの税抜価格です。 |
| 税率:13%;税额:52 | Tax rate: 13%; tax amount: CNY 52 | この税率は教材の仮定であり、実際の適用税率の案内ではありません。 |
| 价税合计:452 | Total including tax: CNY 452 | 合計には記載された税額が含まれています。 |
数量は10箱です。1箱20個なので、別途計算すればクリップ200個と分かります。ただし、これは説明用の計算であり、原本の数量を200に書き換える理由にはなりません。単価を変えずに単位だけを変えると、発票の意味が変わります。
金額の通貨も元のままにします。この例では税抜CNY 400、税額CNY 52、税込CNY 452です。海外の経理部門が後から会計処理のために換算することはあっても、翻訳上でCNY 452を無断でドルやユーロの金額に置き換えてはいけません。
実際の書類では、項目名とレイアウトから価格の意味を判断します。すべてのコマーシャルインボイスが、この発票の例に従うとは限りません。項目が分からない場合は中国発票の読み方を参照してください。
注文書の詳しい品名を記憶から補うのではなく、原本にある説明を翻訳します。「金属クリップ」としか書いていないのに材質等級、ブランド、用途を加えると、発票にない情報を作ることになります。注文との対応関係は、注文番号を添えて別のメモで説明します。購入背景を残しつつ、発行者の記載と混同しない形にできます。
意味を変えやすい細部
関連する項目を小さなまとまりで原本と照合します。辞書上は正しい訳でも、数値が別の行や別会社に結び付けば誤りです。ソフトが問題なく読み取れても、意味を取り違えやすい箇所を重点的に確認します。
- 金額と税額。金额、税额、价税合计を区別します。例のCNY 52はCNY 452に含まれる税額で、追加料金ではありません。
- 符号と調整。マイナス、値引き行、赤字発票への言及を残します。数値の自動整形で調整額を新しい正額の売上に変えてはいけません。
- 日付。原本の日付を保ち、曖昧さのない英語表記にします。発行日は注文日、支払日、納品日と同じとは限りません。
- 単位と仕様。箱、個、セット、重量単位は交換できません。型番と包装数量は対応する商品と一緒に記載します。
- 空欄と判読不能。空欄は値が記載されていない状態、判読不能は確実に読めない状態です。どちらも推測で埋めません。

機械翻訳やOCRは初稿の作成に役立ちますが、原本との比較は必要です。薄い文字、ページをまたぐ表、売り手と買い手の両方にある同じ項目名には特に注意します。読めない文字が残る場合は、もっともらしい会社名を選ぶのではなく、鮮明なファイルを依頼します。
備考と添付資料も確認します。メインページが品目一覧を参照していたり、取引を説明する注記を含んでいたりする場合があります。最初の1ページだけを訳すと、購入内容を理解するための情報を落としかねません。翻訳したページと添付資料の範囲を記録します。
商品説明の改行にも注意が必要です。見た目の2行目が、新しい販売項目ではなく前の商品の続きという場合があります。英語で別行に分ける前に、罫線、数量、金額を一緒に確認します。原本の数値欄が空なら空のままにし、表を埋めるために前の行の価格を繰り返してはいけません。
翻訳と発票照合
翻訳は書類に何が書かれているかを説明します。発票照合は該当する記録を確認します。購入内容の確認は、実際に取得した商品やサービスに対応するかを判断します。関連する作業ですが、一つが完了しても残りが完了したことにはなりません。
対応する中国増値税発票では、原本の項目をChinaValidateの発票照合に入力し、返された情報を元ファイルと比較します。結果は翻訳と別に保存してください。英訳が一通りそろっているというだけで、「照合済み」と書き加えないようにします。
Covingtonの発票コンプライアンスに関する実務解説は、真正な記録でも不適切に使われたり、別の取引に属していたりする可能性を説明しています。記録が一致した後も購入背景が重要なのはそのためです。例の計算が正しくても、クリップの購入や納品があった証明にはなりません。
中国語原本は正しく、英訳で買い手と売り手を逆にした場合は、訳文を直します。原本の購入者名や金額が誤っている場合は、発行者に適切な手続での対応を依頼します。英語コピーの編集では、原本の発行ミスを修正できません。
提出先の要件
誰が何のために翻訳を使うかを確認します。社内の購買確認、経費精算、プラットフォームからの依頼、正式な提出では、必要資料が異なる場合があります。要件を実際に満たしていないのに、作業訳を認証翻訳や公的に受理された書類と呼ばないでください。
例えばオーストラリア政府の記録保存案内は、事業記録を英語または容易に英訳できる状態で保つこと、紙原本の電子コピーは明瞭かつ忠実であることを求めています。これは特定の法域のルールであり、発票を英訳すれば世界中で税務上の控除が認められるという意味ではありません。
認証翻訳を求められたら、発注前に要件を確認します。言語、全文翻訳の範囲、翻訳者の証明、原本の扱いを確認してください。仕入先の二言語メール、自動翻訳、企業調査報告書が、その要件を満たすと決めつけてはいけません。
同様に「英語のコマーシャルインボイス」が必要という依頼は、発票の翻訳ではなく、別に発行する貿易書類を意味することがあります。提出先と仕入先に確認してください。違いは発票とコマーシャルインボイスの比較で説明しています。
確認しやすい引き継ぎ
原本、作業訳、購入番号をまとめて渡します。関連する添付資料と、照合した場合はその結果も添えます。元ファイル、翻訳したページ、不明な箇所を短く記録してください。次の担当者が作業をやり直さなくても、原本の対応箇所を見つけられる状態が理想です。
引き渡す前に名称と番号、商品行、単位、日付、符号、合計を再確認します。翻訳画面だけでなく、書き出したファイルを開いてください。出力時にセルの折返し、ページ抜け、長い番号の省略が生じる場合があります。不明点は明示したままにし、黙って補完しません。
完成した訳文は自然な英語でありながら、中国語原本へたどれる必要があります。購入内容を理解し、適切な確認を選び、具体的な質問をするための資料です。仕入先が発行した書類はあくまで原本であり、翻訳はそれを読めるようにする役割を担います。